冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

「ホテルの下調べはもちろん、報告書に書けそうなチェック項目くらいはあらかじめ考えてあるんだろうな?」

パソコンから視線をあげた安西部長と目が合い、私はシャキッと背筋を伸ばした。

「あ、はい! 入社一年目で安西部長から仕事のノウハウを叩きこまれましたから、その辺は抜かりなく……これです、見てもらえますか?」

視察に行く前に準備しておいたファイルを開き、見えやすいように画面を彼に向ける。

安西部長は時折頷きながら眼差しは真剣だ。私は理由のわからない胸の高鳴りを覚え、ドキドキしながら彼が口を開くのを待った。

結構頑張って作った内容だからきっと……。

「七十点だな」

「……へ?」

お前にしちゃ、よくまとめてある。なんて言葉を期待していたのに、安西部長の口から出たのは想像以上に低い数字で思わず目が点になる。

な、七十点!? なんで?

安西部長は椅子の背に凭れ、両手を後頭部に回した。

「例えば、お前が彼氏とカップルプランでこのホテルに泊まりに来たとして、部屋に入って最初に何を期待する?」

何を期待……って、うーん、改めて聞かれると悩むなぁ。

私は少し考えるように首を傾けながら、パッと思い浮かんだことを口にした。

「そうですね、最初に部屋に入ったら……まず部屋からの見晴らしを期待するかと、後は清掃が行き届いているかどうか……とか?」

思案顔の私に、安西部長がふるふると首を振る。