冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

安西部長に言われてはたと気づく。例え名刺をもらったとしても彼に見せるべきじゃなかった。自分の軽率な行動にしゅんとなる。

「どうせ偵察って言っておきながら冷やかしに来ただけだろ、佐々岡のことは気にするな。お前は自分の仕事に集中しろ。んで、飲み物は？」

「あ……買ってくるの忘れました」

「ったく、何しに行ったんだよ」

あぁ、私の馬鹿、ドジ……ほんと、何しに行ったんだろ。

佐々岡さんと会ったことで、飲み物を買うという目的をすっかり失念してしまっていた。

「飲み物はいいから、とりあえずそこに座れ。これからたっぷりやってもらうことがある」

「はい」

そう促されて安西部長の向かいへ座り、自分のパソコンを立ち上げた。

安西部長と佐々岡さんって、もしかして知り合いなの？　名刺を見た途端にすごい機嫌が悪くなっちゃったけど……。

やっぱり何かあったのかな？　って、本人に聞いても絶対教えてくれなそうだし……。

「お前、俺がイイ男だからってあんまりジロジロ見るなよ？」

「べ、別に見てません！」

目はパソコンの画面に向いているのに、目敏く私の視線に気づいた安西部長からそんな冗談を言われてハッとする。けれど少しは機嫌が直ったのかなと思うとなんとなく安堵した。

佐々岡さんのことは忘れて今は言われた通り今は仕事に集中しよう！　そのためにここに来たんだもの。