まだ納得いかない悶々とした気持ちを押し込んで、私は辿り着いた部屋へ踏み出した。

「おー、見てみろ、綺麗な景色がよく見えるぞ」

カーテンが開かれ、一面に広がる穏やかな海。そして遠くにぽつぽつと漁船が浮かんでいるのが見える。安西部長は呑気にコキコキと肩を鳴らして、洗面所のアメニティやらを物色し始めた。

よかった、ベッドはダブルだ。

ほんとに安西部長とここで二泊三日泊るんだ……。

綺麗にベッドメイキングされた真っ白なシーツを見ていると、モワモワッとなぜか安西部長と如何わしいことをしている妄想が湧きかけて慌てて掻き消す。

「おい、なにベッド見つめて赤くなってるんだ?」

「へっ!?」

いつの間に戻って来たのか、安西部長が傍でじっと私を怪訝な顔で見ている。

「べ、別に……なにも」

「なんだ、もしかしてお前、エッチな想像してたんじゃないだろうな?」

「はっ!? もう! な、なに言ってるんですか? セクハラで訴えますよ?」

「冗談だって」

これ以上不格好に引き攣った顔を見られたくなくて、クスクス笑っている安西部長にくるっと背を向けると、私はスーツケースの中を開けた。