安西部長は困ったようにほんの少し顔を赤らめると、片手で顔を上から下へと拭うようにした。

「惚れた女が自分の好みの色の下着を身に着けて誘ってるんだ。それって最高だろ? こんな場所じゃなきゃ、今すぐにでも押し倒して食いつくのに」

「あ……っ」

「好きだ、愛してるよ」

返事をする間もなく再び唇に噛みつかれた。その低い声に耳朶をくすぐられた気分になって唇にじんとした痺れが走る。

視察のときにも思ったけれど、安西部長は不思議な色気を持っている。普段はガサツで大雑把なのに、骨ばって男っぽい指先が頬を撫でるときは繊細な動きを見せる。

「私も、です……」

これからこの先、どんなことがあっても私は彼を支えそして愛していく。それは安西部長も同じだろう。

唇にぬくもりを感じながら薄っすらと目を開けると、彼の長い睫毛の向こうに宝石のような煌めく夜景が、まるで私たちの未来へとつながる光の道のようにどこまでも広がっていた――。