冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

東京へ降り立つとジリジリと照りつける太陽に目を眇め、一気に小汗が噴き出して首元を拭う。
熱海とは違い、コンクリートで熱せられた空気は人の熱気も相まってむせ返るようだった。

急いで新宿駅まで向かい、会社へ到着したのは会議が始まる十五分前。

ギリギリセーフ! 報告書もなんとか完成したし、後は私がどれだけ効率よく視察の発表ができるか……だね。

スマホを見ると安西部長からメールの返事がきていて、あちらも高速に乗ったらスムーズに車が動き出して途中から会議に参加できるかもしれない、とのことだった。

「ただいま戻りました」

「あ、大倉さん、おかえりなさーい」

広報部のオフィスに顔を出すと、同僚の女子社員が「大変だったね」「これから会議なんでしょ? 頑張って」と労いの言葉とともに出迎えてくれた。会議予定変更のことはすでに部内に知れ渡っているらしい。

会社に着いてもゆっくり休憩する暇もなく、早々に会議室へ向かった。

「瑞……大倉さん、お疲れ様」

その途中の廊下で不意に後ろから声をかけられて振り向くと、元カノへの気まずさを含んだ笑いを小さくこぼした健一が立っていた。