冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

よかった! なんとか間に合った……。

新幹線に乗り込んだと同時に列車は緩やかに動き出す。

学生時代に鍛えた脚力はいまだ衰えてはいなかったようだ。猛スピードで階段を駆け上がり、先ほど車の中でオンライン予約をしていたおかげで、新幹線にはチケットレスで乗ることができた。券売機には特急券を求めてかなり人が並んでいたため、もし、オンライン予約をしていなかったらと思うとゾッとする。

これで何事もなければ、会議には間に合うはず。

席に着いて安堵のため息をつきながら背中を凭れ、流れる景色をぼんやり眺める。

安西部長、大丈夫かな……。

別れ際にされた不意打ちのキス。思い出すと、じんと唇が疼いて指先をあてがう。

おまじないだって言ってたし、他意はない……のかな?

ただのおまじないならキスなんて……。

斜め前に座っているビジネスマンが忙しなくパソコンを叩いている姿がふと目に入ってハッと我に返る。