冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

私の腰に添えていた手が肩へと上がり、そのまま安西部長は優しく抱き寄せた。私は抵抗もせず、甘んじるように身を委ねた。

「なぁ、俺はちゃんとお前の太陽と水になれてるか?」

頭の上で問われ、私は顏をゆっくりとあげる。

「安西部長がいなかったらきっと私、枯れて死んでしまってたかもしれません。今こうしていられるのは、安西部長のおかげです」

見つめ合う視線が徐々に熱を帯びてきて、彼の瞳が揺れた。唇からこぼれる吐息が近づいて、安西部長の顔がゆっくりと傾けられるのを最後に私はそっと目を閉じた。

「……ん」

肉厚な唇がそっと重なる。何かを確かめるように一瞬離れるけれど、次は押し当てるように唇を覆われた。

頬に添えられている安西部長の手のひらが熱い。重ねられる唇が熱い。角度を変えたときにできる、わずかな隙間からこぼれる吐息が熱い。

舟を漕ぐように身体を揺らし、唇を啄む。

いつの間にか寒さを忘れ、湿気を含んだ浴衣からゆらゆらと上気が見えるみたいに身体が火照りだす。緊張で冷えきっていた指先が溶けていくように熱を取り戻していった。

「お前、こういうときだけ色っぽい顔すんなよ。ほかの男が見たら食われちまうぞ」

「私、安西部長になら……食べられてもいいです」

「だから、そういう可愛いこと言うなって、堪えきれなくなる」

何を一体堪えているのだろう。私の心はもう安西部長にしかないのに……と、それを知らしめたくて彼の唇を追いかけた。

どのくらいの間こうして口づけあっていたかわからない。永遠に続く時の中にいるみたいだった。

雨が止んだのにも気づかずに、私はただずっと彼と過ごす時間に溺れたくて夢中だった。

「安西部長……」

意味もなく名前を呼ぶ声が小さく震える。そして彼は「なんだ?」と返事をする代わりに、もう一度私にキスをした――。