冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

「だからお前は馬鹿正直だって言うんだ。そんなの見たってスルーしときゃいいだろ」

「そんなわけにはいきません。だって、あんな鬼みた――じゃなかった、手厳しい安西部長が私のことを守ってくれたんですから。これって、自惚れてますか?」

それが本当にただの私の思い上がりで自惚れだったら、今ならまだ笑って「そうですよね、馬鹿ですね、私」って言える。

「初めは……」

暗闇の海を眺めながら、安西部長が戸惑いがちに口を開く。

「去年、お前がやらかしたミスの処理はまだ大ごとになる前だったからよかったんだ。お前は立ち直りの早いやつだからって、初めはそう思っていた。けど、あの非常階段で毎日のように隠れて泣いてただろ?」

「えっ?」

嘘、もしかして安西部長……見てたの?

私がミスをしてからというもの、自意識過剰気味になってしまい、社員たちが話していることがすべて私の陰口に聞こえて耐えられなかった。仕事をしている間はまだいいけれど、やっぱり広報部のオフィスは私にとって針の筵のようだった。だから休み時間に誰もいない非常階段が私の避難所になっていた。ひとりでしくしく泣いていたこともしょっちゅうだ。

それを安西部長に見られていたなんて……。