冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

威勢のいいおばちゃんがニコニコ顔でりんご飴を二本、私たちの前にズイッと差し出す。受け取らざる得なくなった安西部長は戸惑いながらもおずおずとそれを手に取った。

か、彼氏……また言われちゃった!

艶やかに光るりんご飴に、赤くなった私の顔が映っている。気恥ずかしくなって私はパクっとそれに食いついた。

おばちゃんにお礼を言ってその場を後にする。気がつくと先ほどよりも人の数が増えてきた。

「縁日って言ったらりんご飴ですよね、小さい頃によく食べました」

「りんご飴もうまいが、やっぱりチョコバナナだろ」

「安西部長、バナナ好きなんですね、それにしてもさっきのおばちゃん、安西部長のこと彼氏だなんて……やっぱり、周りから見たらそう見えるんでしょうか?」

胸に湧く今までにないピュアな気持ちに戸惑いを覚える。さりげなく尋ねると、私はチラチラと彼の反応を窺った。

「別に、そう見えたんならそう思わせとけばいいだろ? いちいち反応するなって」

「そ、そうですけど……」

安西部長らしいぶっきらぼうな言い草。意識してるのって私だけなのかな?

密かに期待していたのだと気づかされてなんだかモヤモヤする。するとそのとき、花火大会が開始され、歓声とともにいくつかの花火がドーンと派手に夜の空に打ち上げられた。