冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

見覚えのある文書だ。なぜならば、それは私が去年仕事で大きなミスをして他部署に迷惑をかけてしまったときに書いた始末書だったからだ。

――あれは忘れもしない。私がまだ新人だった頃。

下調べが不十分だったせいで間違った情報を宣伝部へ回してしまい、結果、広告代理店にかける予算の組み直しという失態を犯してしまったのだ。

私の所属する広報部は自らプレスリリースを作成し、それが報道関係者の目に留まり、新聞や雑誌の記事として取り上げられることによって自社の情報が世の中へ伝わる。けれど、宣伝部は広告代理店などの外部と連携し、費用をかけて広告物を制作する。

間違った情報のまま莫大な広告費用が吹っ飛ぶ前に、安西部長が宣伝部へ待ったをかけてくれたおかげで大惨事を逃れることができたのだけれど、あのときの私への風当たりは相当辛辣なものだった。

――あなたのせいで大赤字になるところだったわ。

――まったく、広報部はいいよな、金がかからないからって適当なことやってるなよ。

今、思い出すだけでもどす黒いシミが胸にじわじわと広がっていく。何度泣いたかわからない。