「莉子には、他の奴らにはない物がある」
「………」
「だから、入ってもらいたいんだ。」
優しい、いい子、気を許せる。媚びない。
全て大事だが、莉子自体が必要なんだ。
光希が心を許せる女なんてついこの前までいなかったこと。
それはほんとにこの先はないと思う。
「…………分かったわ。私、入るね。」
「ありがとう!下川さん優しいね〜♥」
紗由ほんとに上げ上手だよな。
俺はあんなの絶対無理だ。
逆に俺がああなら……想像もしたくない。
「じゃあ、明日それで吊ろう。」
「上手くいくかな〜?」
「いきますよ、きっと。」
翌日その作戦をやってみると。
莉子のポーカーフェイスが崩れた。
そして瞳が揺れている。
……ほんとに太一が言った通りだったな。
そして、俺らが思っていることを全て伝える。
それが伝わったのか。
下を向いていた顔が上がった。
「いいよ………」
「「「「「え?!」」」」」
「うん……いいよ。」
この時、本当の莉子と会えた気がした。
俺の瞳を、じっと見つめている。
その、莉子の瞳は少し暗かった。
でも惹きつけらそうな程に綺麗な瞳。
その莉子の口元が動く。
「でも、一つだけ約束して。」
その莉子の声は今までより真剣な声。
その声が耳の響く。
こんな時でさえ、綺麗だと思ってしまう。
