元姫は辛くても笑う


「怒らないで下さい。話を戻しましょう。」

「つまり、下川を、龍火に入れると?」


そう、俺が言うと、すごく嫌そうな顔をする光希。あからさまって感じ。


「莉子は入れたい。でも、下川嫌。」


あの後から、苦手じゃなくなったのか、莉子にたいしては普通になってきた。
懐いてきてる感じ。
でも、他の女は無理なよう。


「でも、莉子を入れるにはこの手しかない。」


俺がそう言うと、押し黙った。
十分理解しているのだろう。
それでも、下川は嫌いなんだな。
余り喋らない光希が、そう言ってると本気だと伝わってくる。


「………わかった。」


この方法は………まぁまぁ強引だけど。
それでも莉子は…莉子だけは絶対に入れたい。

そう思い、下川に声をかける。
俺より愛想のいいふたりが声をかける。


「下川さん、ちょっといいですか?」

「?」

「少し、相談があるんだ〜」


紗由と太一が人のいい顔を浮かべて呼ぶ。
話しかけられたことに驚いたようだけど、すぐに頷いて来た。


「実はね〜莉子を姫にしたくて〜」

「っ……」


少し顔を歪ます。
なにか都合が悪いことでもあるのか?
そう思えたのは一瞬だけで。
すぐに元の顔に戻った。


「莉子が君と一緒じゃなければだめらしく……君に入ってもらいたいんです」

「………どうして莉子なの?」

「え?だって、優しいから。」


サラッと紗由が言ったのが耳に入る。
確かにそれはあるけどな………。