元姫は辛くても笑う



入学式が、おわり。
1ヶ月がたった5月のある日。

キーンコーンカーンコーン

今のは午前の授業が終わった音。
丁度昼飯を食べる時間。


「じゃ、ちょっと屋上行ってみますか?」


屋上は先代が使っていた場所。
だから、多分入る人はいない。
つまり、俺らが独占できる所なわけ。


着いた………。
が、南京錠が付けられている。
これ、開けれんのか?
俺こういうの嫌いだからな。


「開けますね。」

「………あぁ、頼む。」


こうなってるのが分かってたのか、用意が、完璧。少しすると、カチャッと音がなり開く。

ガチャッ

中を開けると、暖かく陽が射していた。
……暖か………。
眠くなる程暖かい光。
上を見ると、さすがに眩しい。


「いい天気〜♪」

「眺めもいいですね………。」


太一と紗由が、とても上機嫌。
にっこにっこしている。
紗由はいつも通りだけど……。
太一にしては珍しい。


「これ、昼寝したくなるね。」


そんなことを耳に入れながら、屋上を少し歩く。……まぁまぁ広い………。
端っこら辺に行くと………、


「んっ………」

「?」


隅の方から声が聞こえてきた。
女の声だ……。
その声につられて覗いてみると………、
今朝見かけた女、如月莉子。
……なんでこんな所にいるんだ?