元姫は辛くても笑う


凄っ、と尊敬の目を向ける紗由を横目に覗く。
……珍しい奴もいるもんだな。


「しかも、普通にめっちゃ可愛い。」


確かに顔が可愛い。
そこら辺の女よりダントツでな。
身長はそこまで高くないけど肌が白くてとても綺麗。見た感じ凄い華奢だし。


「笑顔が最高なんだよね〜」


机に肘をつきなが、話しをしてる。
一目でよく分かるな〜。


「でも、可愛いですけど………」

「だけど何?太一。」


んっ〜っと悩むポーズをする太一。
………なんだよ、気になるじゃねぇか。


「……あ、太一も………嫌いになった?」

「違う違う。………あれ、作り笑いな気がするんですよね……。」


急に何を言い出すか聞いたら……。
さすがにそれは無いだろ。
アンナの俺絶対無理だぜ?


「なんか、口元ひきつってるんですよね。」


そうか?
完璧に綺麗な笑いに見えるんだけど?
目を細めてよく見るけど…。
あまり、そうとは見えない。


「それに、目。笑ってませんよね。」

「それ、太一もじゃん〜」

「俺はいいんですよ。」


確かに、太一の目はいつも笑ってない。
心から笑えることがないんだろうな。


「悲しそ………」


光希が、同情の声を漏らす。
自分と似てるのか、そういう。
………珍しい……。人に興味持たないのに。


「え〜、全然そんなふうに見えないんだけど?」


訳わかんな〜い。と、あっけらかんに言う紗由。その横では、紫音が喋るが、紗由はガン無視。


「如月莉子……」

「随分気になるんだ。」


そりゃな。
みんながそんなに気にしてるんだ。
特に、光希が興味持ってるわけだしな……。