元姫は辛くても笑う


side 祐飛

俺が、莉子に合ったのは入学式の日。


「ふわぁ………眠ぃ…………。」

「紫音、先生に失礼だよ〜ほんと馬鹿だよね♪」

「……ほんとお前は俺の扱い酷いな。」


眠くて機嫌が悪い俺の周りで、茶番が始まった。めんどくさいな………。


「祐飛、情報まとめておきました。」

「………」


2人を除いて。
真面目だな………逆にうるさいけど。



「あー、理事長先生の話長かった〜」

「だな〜」

「うそ、紫音と同じとか草〜」


………こいつほんと毒舌だな。
紫音にだけ。可哀想……とか同情しないけど。


「ねぇ、あの子凄くない?」


ピッと、クラスの人の集まりを指さす。
そこは、凄く人が笑ってる。


「こら、紗由。指は指しません。」

「はーい……でも、凄くない?」

「何がだ?」


俺が聞くと、少し笑って答えた。


「だって、あの真ん中にいる子。同じ中学じゃないでしょ?」


確かにそうだ。見覚えがない。
大体、俺らが入った高校はここらの中学のヤツらが入ってくる。
だから、殆どが顔見知りなわけで……
でも、あいつは初めて見た。
のに………


「凄くない?あの子が、笑ってるからみんなが笑ってるようなものじゃない?」