side 莉子


「……」


先輩達、ビックリしてたな……。
そりゃそうだよね。
あんな話の当人が、私だなんて。
呆れるよね、同情するよね。


「はぁ……」


大きなため息をつく。
どうしたの、私………。
何やってんのよ。紅……違っ、桜氷。


「私らしくないな……」

「何が、私らしくないの?」


ビクリと体を揺らす。
その横からスっと現れたのは真美。
忍者かと思った……。


「……大丈夫?」


私の下から、覗き込む真美。
っ……優しいな………。
あのことだって、いつかは絶対に伝えたい。
伝えられる日は近いんだと思う。
真美なら聞いてくれるんだと思うんだ。


「うん、大丈夫。行こ。」


にっこりと私が作れる程度の笑顔で言う。
その私の顔に反応して、前を向いて歩く。