それも大丈夫だと言われてしまえば、もう断る理由もない。とうとうこちら側が折れる。


その頃にはもう空は深藍色になっていた。


観念して、どうぞと中へ招き入れる。すると、なんとも言えない表情を浮かべた。それはほんの一瞬のことだったが。


「まだ食べてないなら、おれが作るけど。何食べたい?」

「料理もできるんだ……」

「朱鷺子さんに教えてもらったからね。なんでも、教えてくれた」


あ……まただ。


「おばあちゃん、私には教えてくれなかったけどなあ」

「ああ、朱鷺子さんらしい」


言葉の真意はわからないけど、その表情はとても優しいものだった。


……ころころ変わる。不思議な人。ああ、私の好きな星くずパンみたいーーほのかにあまい。