「そんな、……優子が、俺の自殺に、巻き込まれてたなんて……」



暗闇の世界で絶望に打ちひしがれ、虚無感に襲われる。



「ねっ? もっと死にたくなったでしょ? それに生まれた日に死ぬなんて、悲しいものだね」


黒き空間の中に混じって、アイツの黄金の瞳が妖しくゆらめく。


「ねぇ、佐原 智一。君が死にたかった日は、本当に最悪な日だったのかな?」



そうか、最悪な日だと思い込んでいたんだ、俺は。



自分自身で。


ネガティヴな心に捕らわれて、嫌なことから全部逃げ出して……。


結果、優子まで巻き込んでしまった。



「少し見方を変えただけで、君の今日明日は、素晴らしいものになっていたんじゃないのかい? ねぇ、最後に僕に教えてよ、佐原 智一」


ゆっくりと顔を上げれば、妖艶な笑みを浮かべる閻魔大王が、そこにいた。



「君は本当に、死にたいのかい?」