「なぁ、優子」



目の前に立っている俺は、そんな反省する時間さえ与えずに。



「……優子の気持ちは分かった。そんなに早く”結婚”がしたいなら、俺と別れて違う男と付き合ってくれ」



彼女を更に追い詰めるような、毒を吐く。


冷蔵庫から取り出そうとしていた皿に貼っていたサランラップのゴミをパシンッと俺に投げ付け、瞳から涙を零す。



「……智くんの、馬鹿っ」


自分の鞄を手に取り駆け足で玄関へと向かった彼女は、そのままの勢いで家から飛び出して行ってしまった。




「ほら、なにボサッとしてるの。早く彼女を追いかけるよ」


ロリ声をした閻魔大王に声をかけられ、俺は我に返りながら返事を返す。


「あ、あぁ……。分かってる」