10月5日、15時00分。





「すみません、お先に失礼します」


目の前には、会社を早上がりをする優子の姿があった。



遅刻せずにきっちりと仕事を始めて、定時までに終わらせている彼女が早上がりするなんて珍しいことだ。


顔色は悪くないし、体調不良で帰るわけでもなさそうだが……。


平日の昼下がり、バタバタと走り回っている会社の同僚たちは、帰り支度を始める彼女を白い目で見つめている。



「人足りないの分かってて、半日勤務の希望入れたのかな。本当、最近の空気読めないよね」

「帰るならサッサと帰れや」




冷たい批判の言葉を背後から浴びながら、優子は静かに会社を後にした。