「兄貴!」




「―――萌衣‼」




萌衣の姿を見た誠は嬉しそうに顔を綻ばせた。

「あの後、どこ行ってたの?戻ってみたら宏太もトシも居なかったし」

誠が萌衣の髪を撫でながら拗ねたように言った。

萌衣は一瞬で気まずそうな顔をすると誠の手を振り払って言った。



「――――別に?ちょっとブラブラしてただけだよ」



「――――そう」



腑に落ちない顔で誠は言うと、教室から顔を出している坊主頭を見る。

「ごめんね、僕、まだ女の子とデートするから」



「は?!何だよ、それ!こっちは大変で――」



坊主頭が怒った顔で誠に詰め寄る。



「―――行こう、萌衣」