「――――やっぱり萌衣は鈍感だな。ちゃんと言わないと駄目か…」





宏太は困った顔をすると、俺に一歩近付いてきた。

少し膝を曲げて、俺に目線を合わせる。





「―――――好きだ」





「―――――?!」





予想もしていなかった告白に、一瞬で頭が真っ白になる。

なんだ、今、何が起こったんだ?

「宏太、どうしたんだよ……?」

意味が分からない。冗談だよな……?

「どうもしていないぞ。俺の本心だ」






――――宏太が俺に冗談を言ったことなんて、一度も無かった。





だけど、これは―――――。





「―――――ごめんっ!」





俺は宏太を突き放すと、その場に宏太を置き去りにして校舎に向かって走った――――――。