萌衣は叫ぶと、俺からベリッと離れた。

顔を真っ赤にして、息を荒くしている。

相当、俺の言葉が萌衣にとって恥ずかしかったんだろう。

可愛い。







―――――――可愛い?







―――――――可愛いってなんだよ、俺が、萌衣を………?!



「兄貴?」

急に黙りこんだ俺を萌衣が心配そうに見てくる。





―――違う。

俺が萌衣の事可愛いなんて思う筈無い。



なのに、――――――どうしてだ?



体が、帯びた熱を忘れられない。

瞬間、ドクンと激しく脈打つ鼓動。









―――違う、違う、違う、違う。

このドキドキは違う―――!



あり得ないだろ。









―――――――俺が萌衣を好きになっただなんて。