「「「妹は諦めたら?」」」

三人揃って言った。

「なん…だよ。兄弟なんだろ?」

奇妙そうな顔をして勝が萌衣を見る。

今の萌衣は、宏太に後ろから抱き締められ、誠に左手を握られ、利則に親指で指されている状態だった。







どこからどう見ても、「普通の兄弟」じゃない。



「おい、触んなよ、兄貴。てか、トシは指を指すな」
―――萌衣はそうでも無いようだが。






「――――っ、失礼しました!」

勝は叫ぶと、廊下を走って去っていった。

その後ろ姿を利則が見送って。



「――――おい、お前。何しれっと俺の事「トシ」って言ってんだよ」

萌衣を振り返り、低い声で言った。