彼女の方から「話したいことがある」と言われてここに来たんだ。

当時、生徒会長に当選したばかりで、告白の回数も急増していたときだったから、もしかしたら、なんて期待したのを覚えてる。

彼女は可愛くて気が利いて、サバサバした話しやすい子だった。

そんなところに俺は惹かれて、いつも告白される側だった俺は、彼女からの告白を待っていたんだ。



「――――児玉くん…」



空き時間を縫って彼女が待つこの非常階段につくと、彼女は泣きそうな顔をして俺を待っていた。

「え……、どうしたんだ」

好きな子が目の前で泣いてるわけだから、当然動揺した。

滅茶苦茶あたふたして、そんな俺を彼女は終始ずっと悲しそうな顔で見つめていた。