「―――――ごめんっ!」
俺が萌衣に告白したあの日、萌衣は俺から走り去った。
萌衣にフラレた。
心のどこかでフラれるんじゃないかって分かってた。
哀れにも妹に恋をするなんて、本当におかしいことだと思う。
だからこそ、長男である俺が一番萌衣を好きになっちゃいけなかったのに―――。
でも、告白してしまった。
とりあえず、想いを伝えたかった。
「この場所でフラれるのは……、二回目だな…」
呟いて階段から身を乗り出すと、軽音楽部のライブはまだやっていた。
ステージの真ん中で、一人の女子が楽しそうに歌っている。
――――ちょうど一年前に、俺をふった子だ。