「え?」

「乙女、なんてほど遠いよね」

誠の言葉に胸にぐさりとナイフが突き刺さる。




「―――だから、俺は別に乙女になろうなんて…」




「それだよ」

誠が俺の言葉を遮る。

「萌衣は変わろうとしないよね?僕にはフラフラするなって言っといて、行動と気持ちがちぐはぐ過ぎない?」

誠に言われて俺はそっと伸びた髪に触れる。

母親に女の子らしくなったって言われて、嬉しかったんだ、本当は。

「女子っぽくなりたかったから」髪を伸ばした。

宏太に「可愛い」って言われたくて……。



でも、今までの俺が居なくなる気がして怖かった――――。



そっか、俺は、ずっと逃げてたんだな……。