「いや、あり得ないんだよ、まず。兄貴、俺達ってなんなの?兄妹だよな?それ以上でもそれ以下でも無いよな?好きになることも、なられる事もあってはならないよな?うん、そうだよ、そうだ。――――だから、ごめん」
誠が苦しげな表情をする。
「―――萌衣っ、それ、誰に向かって言ってる…?」
「――――――え?」
萌衣が光を映さない目で誠を見る。
「――――なんの事?」
「僕には、その言葉は、萌衣自身に言い聞かせてるようにみえるけど?」
誠の言葉に萌衣は目を見開いた。
しかし、すぐに無表情になると。
「そんな事、あるわけない」
萌衣は吐き捨てるように言って、その場を去った。