「愛してる、他の誰よりも、萌衣を、一番に」

そんな宏太の告白も、今の萌衣には響かない。

見られた、宏太に。どうしよう、どうしよう。

萌衣の頭の中は不安で埋め尽くされ、誠の存在など無視されている。



宏太、違うんだよ、これは―――――。



脳内で必死に言い訳を考えても、宏太に分かってもらえる気がしない。

だって、萌衣は宏太をふったのだから。



「―――――兄貴、ごめん」



萌衣は誠の腕をゆっくりと離す。

「俺は兄貴の気持ちには応えられないよ」

そう言った萌衣の顔は驚くほど無表情で、寧ろ、絶望しているようにもみえる。



「―――そんなすぐに断らなくても――」