僕の庭

にこりと笑った佳穂、僕はその彼女の胸元に、赤とんぼのブローチを見つけた。


「なんだ、つけてくれていたのか」


佳穂は僕の視線の先にある、赤いブローチをつまんだ。


「だって、とても可愛いでしょう?」


「そうか、よかった」


ずず、と湯飲みのお茶を飲み干して、僕は立ち上がった。


「さて、そろそろ絵に戻ろう」


「今回はどんな絵なのかしら?」


「あ、待ってくれ」


座っていた佳穂が立ち上がろうとするのを、僕は手で制した。


「今回の絵は、完成するまで見ないで欲しい。
……そうだな、お楽しみ、というやつだ」