「よく見てご覧?
びわのお墓の所だ。雪に埋もれてはいるが、細い幹が見えるだろう? あの幹には小さな小さな葉が残っているんだ。
桜の幹も見えるね? あれは今はただの茶色い木だけれど、それだって幹の中では脈々と息づいているんだよ。
彼らは、今は雪の布団を被って眠っているのさ。
静かな眠りの世界、それは寂しくも見えるけれど、実は暖かないのちの眠りなのではないか、そう思えてきてね」
そこまで言って、僕は気恥ずかしくなって頬をかいた。
少し語りすぎたろうか。
ちらりと佳穂を見ると、佳穂は湯飲みを両手で握り締めたまま、じっと庭を見つめていた。
曇ったガラス戸の向こうの静かな世界。
彼女も、感じてくれているのだろうか。
僕は黙って彼女の横顔を眺めていた。
「……雪のお布団。そうね」
暖かそうだわ、と彼女が僕を見て笑った。
びわのお墓の所だ。雪に埋もれてはいるが、細い幹が見えるだろう? あの幹には小さな小さな葉が残っているんだ。
桜の幹も見えるね? あれは今はただの茶色い木だけれど、それだって幹の中では脈々と息づいているんだよ。
彼らは、今は雪の布団を被って眠っているのさ。
静かな眠りの世界、それは寂しくも見えるけれど、実は暖かないのちの眠りなのではないか、そう思えてきてね」
そこまで言って、僕は気恥ずかしくなって頬をかいた。
少し語りすぎたろうか。
ちらりと佳穂を見ると、佳穂は湯飲みを両手で握り締めたまま、じっと庭を見つめていた。
曇ったガラス戸の向こうの静かな世界。
彼女も、感じてくれているのだろうか。
僕は黙って彼女の横顔を眺めていた。
「……雪のお布団。そうね」
暖かそうだわ、と彼女が僕を見て笑った。



