「こんにちは」


さぁっと、冷たい冬の空気が室内に舞い込んだ。風を受けて、古いストーブの炎がちらちらと揺れた。


「寒いだろう、早く入ってストーブの前に座りなさい」


「ありがとう。ああ、寒いわねえ」


佳穂は急いでガラス戸を閉めて、ストーブの前に座り込んだ。
はあーっと両手に息を吹きかける。


「すごい雪ね。手がかじかんでしまいそうだった」


「温かいお茶でも淹れようか?」


「いいわ、自分でする。淹れてあげるわね」


「お願いするよ。僕も一休みするとするか」


僕はキャンバス前の椅子から、ストーブの近くにある座椅子に移動した。
やはり熱中していたせいか、腰がずいぶん痛い。


「はい、どうぞ」


「ありがとう」


佳穂から湯気のたった湯飲みを受け取り、ゆっくりとお茶を飲んだ。

彼女はストーブの前にまた座り、湯飲みを両手で包むようにしてふうふうと息を吹きかけていた。