次の日は雨だった。

僕は、縁側の雨が降り込まない所にキャンバスを出し、絵の具を溶いた。
筆を取り、昨日の鮮やかな朝顔の青を思い出しながら、色を乗せていく。


僕は雨降りは好きだ。
渇いた地面が水を吸い、潤い、えも言われぬ香りがする。
それを胸一杯吸い、呼吸をしていると、空と土と僕が混じりあって、溶け込んでしまうような気がするのだ。
こんな気分で絵を描くと、決まっていい絵が描ける。

それに、ひさしから落ちる雨粒の、ぱしゃんぱしゃんという音がやけに心地よく耳をくすぐる。

僕の前世は蛙なのかもしれないな。
ふと思い付いて、くすりと笑った。