「ああ、そうだ。明日には、絵を完成させたいと思う」


じゃあね、と帰ろうとする佳穂の背に、僕は声をかけた。


「そう。じゃあまた、明日も来るわ」

佳穂は振り返ってにっこり笑って言った。
と、その場でゆっくりとくるりと回ってみせた。


「ねえ、せっかくお洒落してきたのよ? まだ褒めてもらってないわ」


ぷうっと頬を膨らませて言う。
僕はその仕草に笑いがこぼれた。


「そうだったかな。よく、似合ってる」


「全くもう、遅いんだから。でも、ありがとう」


佳穂は嬉しそうにもう一度くるりと回って、ひらひらと手を振って出て行った。