「この子を見てたら、あたしも食べたくなっちゃった。びわ、一つ君のをちょうだいね」


佳穂はお皿に盛った枇杷を一つ手に取り、丁寧に皮を剥いた。


「うん、甘くて美味しい」


「よかった。僕は枇杷は食べなくてね」


「あら、とっても美味しいのに」


「ああ、それと、君にはこれもあるんだ。こっちは好きかな?」


僕は冷蔵庫から出してきたラムネの瓶を一本差し出した。


「わあ、ありがとう」


「この間、買い物に出た時に見かけてね。懐かしくてつい買ってしまった」


僕は二本目の瓶を掲げて軽く振ってみせた。