僕の庭

「そろそろ、休憩しない?」


遠くで鳴いていた蝉の声が途切れた時、佳穂が立ち上がった。


「日差しが強いから疲れちゃった。びわも日陰に行こう」


「ああ、熱中してしまっていた。すまないな」


「ううん、いいのよ。でも、ちょっと休憩してからまた続きを描きましょ?」



「ああ、そうだな。
そうだ。休憩するなら、いいものがある」


僕は立ち上がって、冷蔵庫へ向かった。
目当ての物を出して、一緒に真崎さんがくれたびわの残りも持って、戻る。


「君は枇杷は好きかい?」


「枇杷?」


びわはもう気がついたのか、僕の座るのを待ってすぐ、膝に飛び乗った。


「待ちなさい。剥いてあげるから」


びわはおとなしく僕の手をじっと見つめ、僕の指が枇杷を二つに割き、種を取り出すと待ち切れないように口を開けた。