僕の庭

僕はちょうど佳穂のつついた朝顔の辺りに筆を運んでいた。
黒の濃い紺色を塗り、筆を置いて一息吐いた。


「……朝、起きるのが楽しみなんだ」


僕はぼそりと言った。


「え? 何が楽しみ?」


「朝、起きるのが」


「なぁぜ?」


「今日は、どの蕾が咲いているのかな、とか。それは何色だろうか? とか考えて」


自分でも、何でそんな事を言いだしたのか分からないが、気付けばぼそぼそと喋っていた。