「あら。貴方は貴方のままよ。心は全く変わってないわ。
でも、そうね。おじいさんとは呼べなくて、おじさんにしちゃった」


花保理は少し肩を竦めて言った。
ああ、花保理はいつもそうして笑ったのだった。
僕はほほ笑んだ。


「別におじいさんでも構わないさ。実際、いいじいさんだ」


「嫌よ、耕介さん。そしたらあたしはおばあさんだもの」


「いや、君は綺麗なままだよ。あの時のままだ」


あの、僕を見送ってくれた時のまま。



.