探すあてもなくなり、僕はただ街をさ迷うようにして花保理を探した。

みっともない姿の僕に、行き交う人々が嫌悪の表情を浮かべるのが分かったが、僕には関係のないことだ。


花保理、花保理を知りませんか?


僕の希みにはだれも答えをくれない。



「何やってるんだ!!」


肩を急に掴まれて体が傾ぐ。
それは定食屋の大将と、隣の家のおじさんだった。


「花保理を……」


「いない! 死んだんだ!」


「嘘だ!」


僕は大将にすがるようにして叫んだ。


「嘘! 嘘! 嘘だ!」


彼女が僕を置いていくはずがない!
泣き崩れる僕に、おじさんが言う。


「もう止めろ。彼女はどこにもいないから」



彼女はどこにもいないから?

嘘だよ。
嘘だよ。
花保理、花保理……。