それからしばらくして、上の兄の遺骨が戻った。
青空の広がった、夏の名残の入道雲が流れていた日だった。
玄関で兄の骸を抱いて、悲鳴のような泣き声を上げる母を背に、僕は家を飛び出した。
これは夢なのか。
僕はやはり夢の中にいるのか。
悪夢の続きを見ているのか。
兄さん。
焼け跡が残る街を抜け、郊外の田んぼまで走り、空を眺めた。
照りつける日差しは暑く、滲んだ汗は頬を伝った。
喉は渇いて、僕は何度も唾を飲み込んだ。
僕は握ったこぶしにぎゅっと力を込めて、じっと空を見上げ、そしてふいに、感じた。
ああ。
見上げた空は、いつか兄たちと遊んだあの夏の空と一緒で、あの日と今が繋がっているのだ。
けれど、あの日々は遥か遠く、もう戻ってはこない。
「……父さん、兄さん。父さん、兄さん」
寂しくて、悲しくて、僕は声をあげて泣いた。
青空の広がった、夏の名残の入道雲が流れていた日だった。
玄関で兄の骸を抱いて、悲鳴のような泣き声を上げる母を背に、僕は家を飛び出した。
これは夢なのか。
僕はやはり夢の中にいるのか。
悪夢の続きを見ているのか。
兄さん。
焼け跡が残る街を抜け、郊外の田んぼまで走り、空を眺めた。
照りつける日差しは暑く、滲んだ汗は頬を伝った。
喉は渇いて、僕は何度も唾を飲み込んだ。
僕は握ったこぶしにぎゅっと力を込めて、じっと空を見上げ、そしてふいに、感じた。
ああ。
見上げた空は、いつか兄たちと遊んだあの夏の空と一緒で、あの日と今が繋がっているのだ。
けれど、あの日々は遥か遠く、もう戻ってはこない。
「……父さん、兄さん。父さん、兄さん」
寂しくて、悲しくて、僕は声をあげて泣いた。



