しかし、出征することもなく、戦争は終わった。


全て終わったのだろうか?

父と下の兄を飲み込んだまま、悪夢は終わるのだろうか。



僕は戦の終焉を上手く受け入れられずにいた。
戦場に向かわず、死なずに済んだ事に安堵している自分。
家族の減った空虚感にさらされている自分。


死ねなかった事に、悔やんでいる自分。







そんな折、とうとう上の兄の戦死という連絡がもたらされた。




事務的な書面の通知書を握りしめて、僕は立ち尽くした。



僕は、今どこにいるんだろう?


悪夢の中?

それとも現実?


これは現実なのだろうか?