霊感があるのは、彼女にくっついて
離れない妹の方だ。
妹のゆいかちゃんは、幼い内に事故で亡くなった。
しかし姉との誤解が解けずに苦しみ浮遊霊となり
そばに居る。腰まであるロングヘアーに
横にリボンで結んだまどか似の
可愛らしい小学3年生ぐらいの女の子だ。

ゆいかちゃんは、ただ憎んでいる訳ではなくて
大好きな姉に気づいて欲しいと思っている
姉思いの女の子だ。
霊は、霊感がある人に憑きやすい。

そのため、ゆいかちゃんの後ろに
引っ付いて他の霊まで連れて来てしまったようだ。
俺が担当として営業に行くぞと言うと
まどかは、戸惑いながらも承諾してくれた。

まぁ、上司命令だと断られないよね。
そこは…可哀想だけど。

俺とまどかは、そのまま会社を出て
担当地まで行くことに。電車に乗っても
歩道を歩いていてもよほど信じられないのか
心の声が漏れてくる。
しかも、かなり警戒されて……。

うっ……ここまで警戒されると正直傷つくな。
だからと言って全部話す訳にはいかない。
信じてくれない上に余計に引かれる。
それに……。

運命とか頼らずに俺の事を好きになって欲しい。
自分の気持ちが確かに彼女にあるのだと
信じて欲しい。理屈ではないってことを……。
仕方がなく俺は、彼女に声をかけることにした。

「まどか。さっきからブツブツとうるさいぞ。
言いたい事があるなら口で言ったらどうだ?」

後ろをチラッと見ながら伝えた。
彼女は、返事をしてくれたがビクッと
身体を震わせていた。

「あの…課長…」

「うん?」

「課長って…私の心が読めるのですか?
さっきも他の人が、スピリチュアルみたいなのが
あるって言ってたので」

耳を傾けると彼女は、恐る恐るそう尋ねてきた。
質問されると思っていたけど
早速、質問してきたか。

「あぁ俺は、スピリチュアルではなくて
千里眼の方だ。
大体スピリチュアルって神の教えとかオーラが
見えるとかだし。俺は、仏教の方だ。
オーラが見える訳でも神の教えを聞ける訳ではないから
凄くもない。あくまでも遠くを見たり将来や過去
心中を悟るぐらいだ」