「俺も猛反対したよ。婚約なんて冗談ではないって。
しかし向こうは…有名な水仙寺。
名誉ある寺と結び付きになれるのだと
父さんは、聞き入れてくれなかった」

「ど、どうにかならないのでしようか!?」

不安そうに彼女は、尋ねてきた。
考えはあった。これは、最終手段だと思っている。
だけど怖いとか失敗したらとかは思わなかった。
いや、むしろ心の底では……ワクワクしてならない。
どうしてだろうか?それは、きっと……。

「……なら、2人で逃げちゃおうか?」

「えっ?今なんて言いましたか?」

彼女は、聞き間違いかと思い
もう一度聞き返してきた。
俺は、フフッと不敵な笑みをこぼした。

「だから、2人で逃げ出そうと言うこと。
俺と……まどかで」

「課長…正気ですか!?
逃げ出すなんて無茶ですよ?
いくらなんでも…そんこと」

「いや、逃げ出すと言ってもかけおちではないよ?
まどか。ただ結納を交わす前に意志表示をして
出て行くつもりだってこと。
さすがに結納の最中に逃げ出すような
ろくでもない男を向こうは、認めないだろうしね」

「でも、そんなに上手く行くでしようか?
連れ戻される場合だってあるのでは……」

彼女は、不安そうに言う。
連れ戻されたら引き離されてしまうから。
しかしその心配はいらない。

「大丈夫。俺達には、最高の味方がいる。
まどか……俺を信じて。
けして君を離したりしないから」

今なら迷わずに進んで行ける。
伝わってくる2つの生命は、
俺達を正しい方向に導いてくれるだろう。
ギュッと手を握りながら伝えた。

彼女は、頬を染めながらも頷いてくれた。
俺を信じてくれている。