確かに……そうだわ。
入社した頃の私は、幽霊や怖い話が苦手だった。
課長の能力を知った時も疑ったり
少しでも怖いと思った。

運命だと言われても
どこまで信じられるだろうか?
思わず言葉に詰まった。
そうしたら課長は、クスッと笑う。

「まどかは、素直な子だからね。
でもね。話さなかったのは、それだけではない」

「えっ……?」

「俺も君と一緒だよ。
運命だからとか、それを理由にしたくなかった。
それに囚われ周りを見ていないとか思われたくないし
何より君がそれを理由に俺を見てほしくなかった。
好きになるのは、理屈ではない。
初めて会った時から…俺は、俺としてまどか
君に惹かれたんだ。
その気持ちは、今でも変わらない」

真っ直ぐ私を見て伝えてくれた。
その目は、真剣そのものだった。

「……課長……」

そんな風にずっと私を見てくれていたんだ。
ずっと…あれ?
課長の今までの行動を思い出した。

すると半分面白がられていたような
気がするのは、気のせいかしら?
そうすると課長は、またクスクスと笑い出した。

「フフッ…正解。目的は、君を好きになって
欲しくての行動だったのだけど、思っていたより
まどかの反応が面白くてつい…調子に乗っちゃった」

反応が面白いって……。
私は、ムキになって怒った。

「もう……課長ったら」

「ごめん、ごめん。やっぱりある程度
どうなるか分かっていても人間は、欲深いものだね。
もっと夢中にさせたくて
つい意地悪をしちゃうのだから」

嬉しそうな表情で言う課長に
何も言えなくなってしまう。
そんな事をしなくても会った時から私は、
課長に惹かれていました。