『アハハッ…外すの嫌だ~』

数珠を取ろうとしたら
爽太君は、逃げ出すように向こうに
行ってしまった。あ、こら!?

「こら、爽太君。逃げるんじゃない!?
それを返しなさい」

慌てて追いかける。だが
大はしゃぎして止まろうとしない。
子供だから足が速いし!!
必死に追いかけて何とか爽太君を捕まえた。

「こら、爽太君。逃げたらダメだろ!?」

『アハハッ…捕まっちゃった』

キャッキャッとはしゃぎだす爽太君。
完全に面白がっているし…。
幽霊だとしても遊びたい盛りの5歳児だから
仕方がないといえば仕方がない。
俺は、苦笑いしながら右手で抱きかかえた。

「捕まえてきたぞ。まったく…」

「いやああ~何か連れて来ないで下さいよ!?」

連れて戻るとまどかは、
涙目になりながら訴えてきた。
うん?

俺は、きょとんとした。
どうやら怖がらせてしまったらしい。
これは、困ったな。

結局しばらく落ち着くまで待ってから
話を聞くことに。
数珠は、爽太君が居るのを確かめたいから
そのままにして欲しいと奥さんから言われたので
その子の首にかけたままにした。

仏壇に手を合わせた。
線香を添えて…爽太君と話をした。
意識を集中すれば、心の中を通して話しも出来る。

『あのね、あのね。
僕ね。お兄ちゃんになるんだよ!
ママのお腹に弟が居るんだよ』