しずくの恋

「はい、素直でよろしい!」


二人がうんうんとうなずく。



「ってか、しずく! 
顔真っ赤だから。なに妄想してんの?

やらしーーーっ」




「ち、違うからっ! そんな、人を変態みたいに…」



「いや、充分変態だと思う」



「うん、プロの域」




……ひどい




「だってね、こっそり放課後に流山の椅子に座るとか、

視聴覚教室でどこに座ってたか調べて
同じ席に座るとか。

まあ、そのくらいなら可愛げもあるけど」



杏ちゃんの言葉を琴ちゃんが引き継ぐ。



「体育で流山が使ってた体操マットを調べようとしたり、

流山が体調不良で寝込んだのが
どのベッドだったのか保健の先生に聞いてみたり、

挙句に、こっそり尾行して
習いごと先まで着いていくとか…」



「さらにその習い事先で、
のぞき見からの盗撮。

もう完全に犯罪の域に達してるって」



「ひ、ひどい」


杏ちゃんと琴ちゃんのあまりに酷い言いように、
机のうえに突っ伏すと…



「「オマエがな?」」




見事にふたりの声が重なった。


ええっ?!


ものすごく純粋な片想いをしていたつもりだったのに…



「……私、なにか間違えてる⁈」