しずくの恋

「派手じゃないから目立たないけど、
よく見るとかっこいいよね。

なんていうか、本物のイケメン」


「あー、それそれ! 雰囲気イケメンじゃないよね!」


ふたりの会話に
前のめりに飛び乗った。


「そうなの‼︎ 本物のかっこよさなのっ‼︎
世界一かっこいいの‼︎

もう見ているだけでいい!」


すると、二人の冷たい視線が鋭くつき刺さる。



「しずく、本当~~~に、
見ているだけで、いいの?」



杏ちゃんのそのセリフにハッとする。


「ごめんなさい、見てるだけでいいなんて…嘘です。

本当はもっと仲良くなりたいです」




「それで?」


え?


それで?


え、えっと!



「で、できれば、お友達になりたいです」



「「お友達~~~? ただのお友達~~~⁈」」


二人の視線がさらに鋭く突き刺さる。



「…嘘つきました。

できれば、図々しいことは百も承知で、
な、な、な、流山くんと、

お、おつきあいできたらいいな、と思っています。

その、か、彼女、とかに
なれたらいいなって、思っています!」



あ、あれ?


お昼休みの教室で、

私はなにを宣言してるんだろう?