戸惑いながら首を横にふる流山くんの言葉を最後まで聞くこともなく、
その背の高い男の子は美しい顔に厳しさを漂わせて道場を去っていった。


「参ったな…」


一人道場に残された流山くんがそう呟くのが聞こえた。


流山くんはしばらく道場に立ち尽くし、
なにか考えているようだった。


そして、小さくため息をつくと
そのまま流山くんは更衣室に向かった。



私は…



下駄箱の裏に隠れて、
流山くんが出てくるのを待ってしまった。