「うーん……

例えば、流山の通ってる空手教室に
しずくも通ってみるとか?
流山って、空手、うまいんでしょ?

この前も全校朝会で表彰されてたよね?」


「あ、それいいね!」


「あと半年で高校も卒業だからね。

卒業しちゃったら、今みたいに会えなくなっちゃうんだから、
そろそろ行動してもいいんじゃない?」


「そっか、もうすぐ卒業なんだね…」


卒業後のことを、全く考えていなかった。


流山くんに会えない毎日がやって来るなんて
つらすぎる…


「これをきっかけに距離が縮まるかもよ!」


「盗撮するために道場にこっそり見に行ってるんだから、
それなら堂々と同じ教室に通ったほうが健全だしね!」



「と、盗撮なんてしてないよっ」


琴ちゃんたら、人聞きの悪いっ!


「じゃ、その道着姿の流山の壁紙はどうしたの?」


そう言って杏ちゃんが私のスマホを指さした。


「な、流山くんの…成長記録、的な?」


「隠し撮り的な…でしょ」


呆れて肩をすくめたのは杏ちゃん。


「とにかくさ、しずくの道着姿見て落ちない男はいないでしょ」


「そうそう、ギャップ萌え、大事!」


「流山くんの道着姿…ギャップ萌え…!」



確かに、学ランの流山くんもカッコいいけど、
道着姿の流山くんは意識が遠のくほどのカッコよさ。


凛々しい顔立ちと厳しい目つきに黒髪短髪が、
道着によく映えて…



「ちょっ、しずく、落ち着いて!
妄想で顔真っ赤になってるよ。

それから、しずくがギャップ萌えしてどうするの!」



「そうだよ、あんたが道着を着て、
その姿を流山くんに見せて、

ギャップ萌え、感じさせるんでしょ!」


手のひらでパタパタと熱くなった顔を扇ぐ。



「流山くんの道着姿なんて、
こっそり見てるだけでも心臓が大変なことになるのに、

間近で見ちゃったら、私の理性が崩壊しちゃうかも…」