気が付けば、

流山くんは私から離れた前の方の席に座るところで…



「ええっ!桐原さんじゃん!やばい! 」



「同じ委員会になれるなんてラッキー」



そう言って近づいてきた男子に囲まれて、
流山くんの姿があっという間に見えなくなった。


人垣の隙間から、流山くんの後ろ姿を
泣きそうになりながら見つめた。


流山くんはその後ろ姿までも神々しかった。


せめて、流山くんって、名前を呼びたかったな…


なんでその先の会話を考えておかなかったんだろう……


でも、あの時の流山くんの笑顔は
本当に、最高だった。


「うんっ‼ あれは、国宝級の笑顔だった!」


思わず言葉にすると、

ぎょっとした顔で杏ちゃんと琴ちゃんが私に冷たい視線を送ってきた。